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ブログ : 2014年8月

リーゲルテレスコープ義歯  症例 バネ式の部分入れ歯が合わない!  神奈川県藤沢市片瀬の歯科 あらやしき歯科医院

あらやしき歯科医院に来院された時は、
「左下の部分入れ歯が合わない。食事ができない。しゃべっていると浮いてきてしまう」
という状況でした。
歯にバネの金具が掛かって、一目で入れ歯だとわかってしまいます。
arayashiki riegel001-01.jpg「奥歯を失ってから何度も入れ歯を作り直している。ずっと定期的に歯科医院に通い、歯石除去と入れ歯の調整を繰り返してきた」らしいのですが、かみ合わせの違和感が強く、そのことを前医に伝えると「何度も歯を削られて歯が短くなっていくようで怖くなった」との事でした。
 
模型診査をした結果、噛み合せが悪く(義歯の側方咬合湾曲のカーブが逆になっている/逆モンソン・義歯の大臼歯が咬合接触していない)噛むときの顎の位置が不安定になってしまっています。
kougouwannkyoku.jpgのサムネイル画像 クラスプ式の義歯は、維持歯への力の集中が避けられない。バネはフレキシブルなので、義歯が動いてしまう。安定しない・義歯が動くと歯ぐきが擦れて痛い・維持歯も揺すられてダメにしてしまう。
temporary denture K.H.Korber.jpgだから、食事をすると痛い。人とお話しするときは入れ歯をはずす。という事態になってしまいます。
その結果、義歯で噛むと痛いので、咬まないように入れ歯を削ってしまったのでしょう。奥歯が咬まない状態にしてしまったので前歯に負担が掛かり、かみ合わせの違和感が消えないのだと思われます。
arayashiki riegel001-02.jpg診査・診断の結果を踏まえた話し合いによって
「リーゲルテレスコープ義歯による咀嚼機能の回復と義歯の安定化を図る」という治療計画になりました。

リーゲルテレスコープ義歯
維持歯を入れ歯全体で覆って歯を固定します。さらに、かんぬきを使って入れ歯を歯に固定します。
鍵を掛けてしまえば、おしゃべりしてる途中で浮いてきたり、人前ではずれてしまうような事態を避けられます。
arayashiki riegel001-03.jpg噛み合せの平面のアンバランスを解消し、全体がシッカリと噛むように作製します。
arayashiki riegel001-04.jpgarayashiki riegel001-05.jpg入れ歯のバネがなくなり、入れ歯を使っている感じは全くしません。
arayashiki riegel001-06.jpg「ふらつかない・はずれない・何でも噛んで食べられる」ドイツ式の義歯が完成しました。
快適なつけ心地でしゃべると浮き上がるということはありません。しっかり嚙んでなんでも食べられます。
金具が見えないので、他者には入れ歯だと気づかれません。入れ歯を使っていることは、メンテナンスする歯科医師と患者様ご本人にしかわかりません。

先日も「大きく口を開けられるようになった。思い切り(趣味の)歌を歌えるようになった」と、とびっきりの笑顔で報告して頂きました。とてもよろこんでいただいて、私たちもうれしく思います。
 
咀嚼能力が低下すると食品多様性が低下し、タンパク質低栄養という栄養失調になります。その結果、フレイルが進行しサルコペニア・ロコモティブシンドロームという深刻な状況になりかねません。
何でも噛んで食事ができる状態に回復することは、全身の健康の保持増進にとても重要です。
 


 

咬合(かみ合わせ)と生理的咬合湾曲          神奈川県藤沢市の歯科医院

かみ合わせには幾つかルールがあります。その中の一つに、かみ合わせの面(咬合平面)には、スピーの湾曲・モンソンカーブといったある法則にのっとった解剖学的湾曲の存在があります。
解剖学的な解説はあえてしませんが、とても簡単にいうと、下あごの歯の上には半径4インチの球体がきれいにはまるようになっています。
kougouwannkyoku.jpgところが、元々の歯並びの状態(特に親知らずの影響)、長年の歯の咬耗(すり減り)あるいは不適切な歯科治療などによって、このカーブがきつくなりすぎたり、逆のカーブを描いてしまったりするようになると、途端にかみ合わせのバランスが取れなくなって様々な症状が現れることになります。

歯1本の治療はもちろん大事ですが、全体のバランスや機能的に調和のとれた安定したかみ合わせと顎関節を構築することが、歯科治療で最も大事なことです。

適切な咬み合わせを取り戻すためには、適切な診査・診断が必要です。


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